Instagramにおいてユーザーとの関係性を測る指標として「エンゲージメント」が用いられます。エンゲージメントをあげることで将来的な集客も期待できるはずです。しかし、実際のところエンゲージメント率について詳しく知らない方も多いでしょう。

そこで、今回の記事ではInstagramのエンゲージメント率について紹介します。エンゲージメント率をあげるためのコツも5つ紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。

Instagramのエンゲージメントとは?

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Instagramにおけるエンゲージメント(率)とは、「自身が投稿した写真に対して、どの程度のユーザーが反応したのかを表した割合」のことです。Instagramにおいては以下のアクションがエンゲージメントに当てはまります。

エンゲージメントに当てはまる反応
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そもそも「エンゲージメント(engagement)」という言葉は「深いつながりを持つ関係性」や「組織への愛着心」などの意味を持ちます。そのため、エンゲージメントが飛んでくるアカウントは、フォロワーとの関係性を深められているということです。

特に近年のSNSマーケティングではフォロワー数だけでなく、エンゲージメント率の高さも重要とされています。例えば、フォロワー1万人でエンゲージメント率1%のAというアカウントと、フォロワー5,000人でエンゲージメント率が3%のBというアカウントがあったとしましょう。

Aのアカウントに何らかのアクションをとったフォロワーは100人ですが、Bのアカウントにアクションしたフォロワーは150人もいることになります。5,000人もフォロワーに差があるにもかかわらず、Bの方が効果的に情報を伝えられているということです。

以上のようにユーザーに対して効果的に情報を伝えるためにも、エンゲージメント率の向上を狙うアカウントも増えてきています。

Instagramのエンゲージメント率を求める計算式は?

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Instagramのエンゲージメント率を求める計算式は以下の通りです。

エンゲージメント率=エンゲージメント数÷インプレッション数orフォロワー数

エンゲージメント数とは以下の項目を合計した数値のことを表します。

エンゲージメントに当てはまる反応
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分母にあたる数値はインプレッション数やフォロワー数などの数値を利用しましょう。アカウントの分析方法や方針によって分母は異なりますが、いずれの場合も一度利用した項目は変えないようにしてください。

分母に利用する項目を変えてしまうと、後の分析の際に比較対象にズレが生じ、分析の意味がなくなってしまいます。

以下のようなエンゲージメント数でエンゲージメント率を求めるとしましょう。

例えば……
  • いいね…200
  • 保存…50
  • コメント…100
  • シェア…50

フォロワーが1万人の場合、エンゲージメント率を求める式は以下の通りです。

エンゲージメント数(200+50+100+50=400)÷フォロワー数(1万人)=エンゲージメント率(4%)

エンゲージメント率を求める際にはフォロワーの数を利用しても問題ありませんが、すでに利用していないアカウントも含まれている場合もあります。また、エンゲージメント数にはフォロワー外からのエンゲージメントも含まれる点には注意してください。

Instagramのエンゲージメント率の平均と中央値は?

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Instagramのエンゲージメント率の求め方がわかったところで、それぞれどの程度の数値が平均値・中央値なのかを知りたいところです。そこで、各業界のエンゲージメント率の平均値・中央値の情報をまとめました。

Instagramのエンゲージメント率の平均値

InstagramマーケティングツールをリリースしているMASAIが実施した調査によると、以下の結果が出ています。

1万人未満1万〜5万人5万〜10万人10万人以上
美容・コスメ2.6%2.1%1.2%1.0%
飲食3.1%3.2%3.1%2.1%
旅行4.4%4.7%3.9%2.9%
アパレル2.1%1.6%0.9%0.8%
メディア6.3%2.0%2.2%1.4%
引用元:「Instagramのエンゲージメント率の目安は?業界別の平均値・中央値を解説

アカウントの規模ごとにエンゲージメント率が公表されていて、約1,400社を対象にした調査結果です。10万人以上のフォロワーのアカウントで比べてみると、旅行業界と飲食業界のエンゲージメント率が群を抜いています

どちらも商品やサービスの魅力を伝えるには写真や動画が効果的な分野であるため、エンゲージメント率が高まるのは至極当然でしょう。一方で、他業界と比べてどの規模のアカウントでもエンゲージメント率が伸び悩んでいるのがアパレル業界です。

アパレル業界でアカウント運用していく予定がある人は、よりユーザーの欲を満たすような投稿が求められます。どのようなコンテンツが欲しいのかをユーザー目線で考えたうえで投稿するようにしましょう。

Instagramのエンゲージメント率の中央値

平均値の場合は特定の企業が数値を引きあげている可能性もゼロではありません。そこで、データを大きい順に並べた際のちょうど真ん中の数値となる「中央値」もまとめました。

MASAIが調査した結果は以下の通りです。

1万人未満1万〜5万人5万〜10万人10万人以上
美容・コスメ2.0%1.2%1.0%0.7%
飲食3.0%2.9%2.1%1.7%
旅行4.2%3.5%3.4%2.5%
アパレル1.9%1.1%0.7%0.4%
メディア3.9%1.4%1.6%0.9%
引用元:「Instagramのエンゲージメント率の目安は?業界別の平均値・中央値を解説

いずれの場合の数値も、メディア業界以外はアカウントの規模が上がるにつれてエンゲージメント率が低下する傾向にあります。規模が大きくなるにつれて母数が増えていくため、フォロワーからのエンゲージメントが少なくなってしまうのは仕方ないことです。

しかし、だからといってエンゲージメント率の向上を諦める必要はありません。むしろ多くのフォロワーからエンゲージメントをもらえれば、ブランドの認知が拡大する可能性もあります。

そのため、Instagramマーケティングではフォロワー数に満足するのではなく、常にエンゲージメント率を向上させる施策を考えていくことが大切です。

Instagramのエンゲージメント率が大切な理由3選

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Instagramのエンゲージメント率が大切な理由は以下の3つです。

エンゲージメントが大切な理由
  • 投稿の露出が高まる
  • フォロワーが増えやすくなる
  • ユーザーとの関係性が深くなる

それぞれ詳しく解説していきます。

投稿の露出が高まる

エンゲージメント率が高い投稿は、Instagramのユーザーから「いいね」や「保存」の数が多いということです。つまり、ユーザーの興味を惹く、質の高い投稿ができているということになります。

質の高い投稿は検索結果や人気投稿などに表示されやすくなるので、結果的に投稿の露出が増えるでしょう。多くのユーザーに見てもらうためにも、エンゲージメント率の向上は欠かせません。

フォロワーが増えやすくなる

エンゲージメント率の高い投稿は検索結果の上位に表示されやすいです。実際にInstagramで特定のワードを検索してみてください。

例えば、ハッシュタグ検索で「日本」と検索してみるとしましょう。日本とハッシュタグが付けられた投稿は2022年4月時点で2,000万件を突破しています。

トップに表示されている投稿はどれも「いいね」や「コメント」の数が多いです。以上のように検索結果の上位に表示されることで、ユーザーからの認知が高まる可能性があがります。

認知が高まればおのずとフォロワーが増えていく可能性が高いです。また、フォロワーが投稿をシェアしてくれる可能性もあるので、芋づる式にフォロワーが増えていく可能性も高まります。

フォロワーとの関係性が深くなる

エンゲージメント率が高いということは、投稿に対してフォロワーが何らかのアクションをとっているということです。つまり、投稿者とフォロワーのあいだで親交関係ができているということになります。

フォロワーとの関係性が高まれば信頼関係も生まれてくるので、商品やサービスの販売もしやすくなります。結果的に集客のみならず販促効果も見込めるので、エンゲージメント率を高めておいて損はありません。

Instagramのエンゲージメントの見方は?

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では、Instagramでエンゲージメントを確認するためにはどのような手順が必要なのでしょうか。ここでは、Instagramのエンゲージメントの見方を紹介します。

エンゲージメントを確認する方法
  1. ビジネスアカウントに設定する
  2. メニューにある「インサイト」をタップ
  3. 投稿インサイトを確認

①ビジネスアカウントに設定する

まずInstagramのエンゲージメントを確認するためには、インサイト機能を利用しなければいけません。ただし、インサイト機能を利用するためにはInstagramのアカウントを「一般アカウント」から「ビジネスプロアカウント」に変える必要があります。

ビジネスアカウントと聞くと、「企業や団体でなければ利用できないのでは?」と考える人もいるかもしれませんが、誰でも無料で利用できるので心配いりません。ビジネスアカウントに変更すると、インサイト機能の他にも以下のメリットが得られます。

ビジネスアカウントに切り替えるメリット
  • お問い合わせ先を表示
  • 広告への出稿が可能
  • 管理権限の共有

本格的なInstagram運用を検討している方は、ビジネスアカウントに切り替えておいて損はないので、この機会に切り替えておくことをおすすめします。ビジネスアカウントに切り替える手順は以下のとおりです。

ビジネスアカウントへの切り替え方法
  1. Instagramにログイン
  2. 右上の「メニュー」をタップ
  3. 「設定」をタップ
  4. 「アカウント」をタップ
  5. 「ビジネスアカウントを取得する」をタップ
  6. 「ビジネスアカウントに切り替える」をタップ
  7. 自分の職業欄に当てはまる職業を決定
  8. ビジネス利用かクリエイター利用か決定

文字に起こすと少し長く感じるかもしれませんが、実際のところはタップして進めていくだけですので、それほど手間はかかりません。

②メニューにある「インサイト」をタップ

ビジネスアカウントに変更できたら、マイページの右上にある三本線のアイコンをタップ。メニューを表示し、「インサイト」をタップしてください。インサイトをタップすると、過去の投稿に関する数値を確認できます。

一つひとつの投稿のインサイトを確認したい場合は、プロフィール画面に並んだ投稿の中から、インサイトを確認したい投稿をタップ。コンテンツ下に青文字で表示されている「インサイト」のボタンをクリックしてください。

③投稿インサイトを確認

インサイトではInstagramのエンゲージメントに関わる数値を確認できます。確認できる項目は以下の通りです。

エンゲージメントに関わる数値
  • リーチしたアカウント数
  • インプレッション数
  • オーディエンス
  • コンテンツのインタラクション数

コンテンツのインタラクション数では、いいねやシェア、コメントなどのエンゲージメントを確認できます。そのため、エンゲージメント率を知りたい場合にはインタラクション数を把握しなければいけません。

Instagramのエンゲージメント率をあげるためのコツ5選

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Instagramのエンゲージメント率をあげるためのコツはいくつかありますが、今回は厳選した5つのコツをご紹介。今日から実践できる内容もあるので、ぜひ参考にしてみてください。

エンゲージメント率を高める5つのコツ
  • ペルソナの設定
  • 競合の分析
  • 投稿にハッシュタグを追加
  • ユーザーとの定期的なコミュニケーション
  • キャンペーンの実施

ペルソナの設定

そもそも興味のないコンテンツはユーザーが流してしまう可能性が高いため、エンゲージメントにつながりません。エンゲージメントを獲得するには、ユーザーに興味を持ってもらう必要があります。

そこで、興味のあるコンテンツを発信するために、ユーザーが好む情報を発信しましょう。ただし、無闇に情報を発信していては、本当に情報が届いてほしいユーザーにまで届かないので「ペルソナ」を設定してください。

Instagramにおけるペルソナとは、投稿を閲覧しているであろう具体的なユーザー像のことです。特にInstagramのような無数のユーザーを相手にするような市場は、ペルソナを設定すると適切な投稿がしやすくなります。

競合の分析

エンゲージメント率を高めるためには競合の分析も欠かせません。特に以下の項目は競合分析してください。

競合の分析ポイント
  • どの時間帯に投稿しているか
  • どのような写真・動画を投稿しているか
  • 投稿のハッシュタグを把握する

最低でも以上の項目は確認しておきましょう。競合分析の際に定量的なデータも得たい場合には、分析ツールを利用するのも1つの手段です。

投稿にハッシュタグを追加

写真や動画を投稿する際には、ハッシュタグの追加を忘れてはいけません。ハッシュタグを追加することで以下のメリットが発生します。

ハッシュタグを追加するメリット
  • パッと概要を見るだけでコンテンツがわかる
  • ハッシュタグ検索でひっかかりやすい

特にハッシュタグで特定のワードを検索しているユーザーは興味関心が高いので、エンゲージメントにつながりやすいです。エンゲージメント率をあげるためには、なるべく検索機会の多い、ハイボリュームなハッシュタグをつけるようにしてください。

ユーザーとの定期的なコミュニケーション

ユーザーと定期的にコミュニケーションをとることは、エンゲージメント率をあげるための重要な施策です。投稿に対してのコメントに返信するのはもちろん、いいねを返すことも忘れてはいけません。

また、Instagram内で効果的にコミュニケーションをとる方法として「ストーリーズ」を活用するのも1つの手段でしょう。ストーリーズではアンケートや質問機能も利用できるので、ユーザーとコミュニケーションをとりやすいです。

質問に回答することでスムーズなコミュニケーションが可能になり、親密な関係が築けます。深い関係を築ければ「いいね」や「コメント」にもつながるので、よりエンゲージメント率が高まるでしょう。

キャンペーンの実施

エンゲージメント率をあげるにはキャンペーンの実施も視野に入れましょう。特定のハッシュタグを付けて写真を投稿するのは、よくあるキャンペーンの手段として用いられています。

ハッシュタグの投稿が増えることで宣伝効果につながるだけでなく、エンゲージメントの増加も期待できます。ただし、キャンペーンは何らかの景品を用意しなければいけないため、費用がかかる点は注意が必要です。

また、キャンペーンの景品として金券やお金を渡すのはガイドラインに違反する可能性があります。実際にInstagramの公式ガイドラインには以下のように記載されています。

「いいね!やフォロー、コメントを含むやり取りの見返りに、金銭や金券などのプレゼントを申し出たりしないでください」

引用元:コミュニティガイドライン│Instagram

以上の点に注意したうえでキャンペーンを利用するようにしましょう。

Instagramのエンゲージメントの注意点

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Instagramのエンゲージメントに関する注意点を3つ集めました。エンゲージメントに関する疑問が発生した際の参考にしてください。

PCでのインサイトは情報が限定される

Instagramのエンゲージメントを確認するためには、インサイト機能を利用するのが一般的です。しかし、インサイトはスマートフォンのアプリからしか確認できません。

原則として、投稿に関するインサイトはPCからでも確認できますが、アカウント自体のインサイトは確認できないので注意しましょう。

フォロワーの増加=エンゲージメント率の向上にはならない

フォロワーの増加はエンゲージメント率の向上に必ずしもつながるわけではありません。むしろ、フォロワーが増えるとエンゲージメント率は低下する傾向にあります。

実際にMASAI社の調査によれば、アカウントの規模が大きくなるにつれてエンゲージメント率は低下するという結果に。例外もありますが、基本的にはフォロワーの増加がエンゲージメント率の増加につながるわけではないと心得ておきましょう。

投稿時間によってはエンゲージメントが伸びないことも

Instagramに投稿する時間帯によっては、エンゲージメントが伸びない場合があることも注意してください。特に深夜や早朝の時間帯はそもそもスマートフォンを触っていないことも多いため、Instagramの利用者も少ない可能性があります。

スマホを触りやすい通勤の時間帯や、夕食後のリラックスタイムなどに投稿するとエンゲージメントが改善されるかもしれません。

Instagramでエンゲージメント率を上げて効果的に集客しよう!

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Instagramにおいて、エンゲージメント率の向上はフォロワーの獲得と同様に大切な要素です。エンゲージメント率を向上させられれば、フォロワー獲得や販促がしやすい環境が整えられます。

また、エンゲージメント率を上げるためにはコメントやいいね返しはもちろん、キャンペーンなども効果的です。アカウントごとに適切な施策を考えたうえで、エンゲージメント率の向上を目指しましょう。